コンピュータにさまざまなデータを扱わせるためにはコンピュータにとって扱いやすいデータを用意してあげる必要がある。西野はその扱いやすいデータの形、すなわちデータ構造の在り方に関する研究や、その技術の自然言語処理への応用に関する研究を行っている。
西野が専門に扱っているものは、二分決定グラフ(BDD、ZDD)と呼ばれるデータ構造だ。これによりコンピュータに対し非常に負荷がかかるデータを小さくシンプルな形のグラフに圧縮し、そのままの形で組み合わせの数を数えたり、条件を満たす組み合わせを見つけたりすることができる。
「二分決定グラフを用いることでコンピュータの作業が非常に高速になり、できることが大きく広がります。これまで汎用コンピュータには処理が重たかった自然言語処理やグラフ描出のようなものもレスポンスが早く返ってくるようになるなど、複雑な作業もスピーディにすることができます」
コンピュータが思う存分能力を
発揮できるように
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コミュニケーション科学基礎研究所
西野 正彬
Research Develorer
世界にはさまざまな最新アプリケーションが増え、コンピュータに対する要求は日に日に高く重いものへと変わってきている。
その一方で汎用計算機の進化は穏やかになりつつあり、
せっかくコンピュータが手もとにあってもデータ処理が追いつかず、期待する成果が得られづらいケースも多い。
西野はデータ構造の研究を通して、コンピュータに負担の少ないデータ処理を実現する。
01.Technology
コンピュータが扱いやすいデータ構造をつくる
02.Personality
データからのアプローチで社会貢献を
今後、コンピュータへの要求が上がり、処理するデータが加速度的に大きくなっていった場合、コンピュータそのものの進化が追いつかず、性能をすべて使い切らなければ処理が追いつかないようなケースが出てくることが予想される。
「そうなった場合、データ構造という基礎的な部分を処理してあげることで、できることは広がるんじゃないかと思いますし、そこに貢献していきたいと思っています」
データ側からのアプローチによってコンピュータの動作を向上させる。ZDDは現在、国内で数十人、世界規模で見ても100人いるかいないかといったスケールの研究分野ではあるが、非常に高い注目度を集めている。
「私自身、研究を始めた当初はつまずくことがありました。けれど、根気強く研究を重ね、周囲と議論していくことで理解を深め、成長することができました。今後も粘り強く研究を続け、データの圧縮技術を応用した問題解決で社会に貢献していきたいと思っています」
PROFILE
- 西野 正彬
- 2008年入社。幼い頃から算数や数学が得意で自然と研究者の道へ。学部時代のプログラミングの授業などが楽しく、計算機科学の道へ。
※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、
旧研究所名の場合がございます。