池内は機械学習やAIを用いて通信ネットワークにおける障害対応を自動化し、より高度なレベルに引き上げるための研究開発を行っている。従来のネットワーク保守は個々の保守担当者の経験に依存して行われることが一般的であった。しかし、現在では通信ネットワークの複雑化と機能の多様化が進んでおり、高品質のサービスを継続的に維持していくためには、あらゆる情報・知見を持ち、かつ分析することができるネットワークAI(NW-AI)技術の構築によって、突発的な障害にも精度の高い対応を自動で行えることが求められている。
「特に今、力を入れているのが、障害生成に関わる技術です。頻発するトラブルはすでに自動復旧できるフローが構築されていますが、一方で熟練の保守担当者でもあまり見ないような低頻度の障害や、そもそも起きたことのない障害、複数の要因が絡み合った障害などは、フローが存在しないだけではなく、どのようなデータが観測されるのかもわからない未知のものになります。AIはある程度の汎用性を持ちえますが、まだまだこうしたマイナーな事象に対しては対応が難しいのが実情です。そのため、カオスエンジニアリングに着想を得て、NW-AIの学習効果が高いような障害を選定して意図的に挿入する技術や、障害挿入と障害復旧を何度も繰り返しながら学習を進めることによって、“あらゆる障害に対する復旧フローを自律的に獲得するようなAI技術”の研究開発を事業会社と連携しながら取り組んでいます」
自律的に進化し続ける
ネットワークAI技術
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ネットワークサービスシステム研究所
池内 光希
Research Develorer
国内外で無数に張り巡らされるネットワーク。しかし、その運用と保守において、障害の発生を完全に回避することはできない。そこで障害発生時の復旧作業をAIで自動的に行うことで、ネットワークをより安定的で便利なものにしていく。池内はそんな未来に挑んでいる。
01.Technology
未知のトラブルにも対応できるAI技術を
02.Personality
社会のあり方が変わっても
障害の対応は大きく「検知」「分析」「復旧」の3つのフェーズに分かれる。機械学習の導入により障害の検知や分析に関する技術はこれまで大きく発展してきた。今後、さらなる安定したネットワークを実現するには「復旧」フェーズの高度化も求められ、池内はその目標実現に向け、懸命に研究開発に励んでいる。
「自動復旧を担うNW-AIを発展させ、安定したネットワークを実現することをめざしていますが、フォーカスしているのは障害だけ、あるいはネットワークだけではありません。今後、通信が発展していけば、障害の種類だけではなく社会のあり方、アーキテクチャが変わっていきます。その際により大きな環境変化に対しても自律的に進化し追随していけるようなNW-AIをイメージしています。そしてその先には、人々が障害の発生やネットワークそのものを意識することなく、シームレスにつながれるような世界を実現できればと夢を描いています」
PROFILE
- 池内 光希
- 2016年入社。あらゆる分野を巻き込んだ新しいネットワーク運用のあり方を模索し体系化した上で、それを技術の力で実現したい。
※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、
旧研究所名の場合がございます。