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2025年3月までに四年制大学・大学院修士課程・大学院博士課程を卒業(修了)見込みもしくは卒業(修了)済みの方が対象となります。
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データから意味を導き
IoTに価値をもたらします

  • #Iot/AI
  • #ビッグデータ
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コンピュータ&データサイエンス研究所

秦 崇洋、吉田 学、松浦 伸彦、児玉 翠

IoTを使ったシティデータの「価値化」技術

データはそれだけでは単なる数字でしかない。
それはスタンドアローンのセンサーであれ、IoTであれ、どんな形で集めたデータであっても同じことだ。
しかし多角的なデータを解析し、事業的な意味を見出すことができれば、そこには大きな価値が生まれる。
コンピュータ&データサイエンス研究所には、そうした「IoTの価値化」に挑戦しているチームがある。

01.IoTデータを分析し、未来をつかむ

IoT技術の普及によりさまざまな物がネットワークにつながり、我々は多様なデータを集められるようになった。もちろんIoTの登場を待たずしても、これまでデータはさまざまな形でビジネスに活用されてきた。例えばPOSレジで集計されたデータは、雨の日の客数減少を可視化するなど、小売店の流通戦略実現に大いに活用されている。しかし「IoTの価値化」に挑む秦崇洋は「それでは一面的な分析しかできない」と話す。
「IoTで集めたデータを複合的に分析することで、『晴れたのにお客さんが来なかったね。なんでだろう?』というようなことがなくなります。商業施設であれば天候だけではなく、風速や地域ごとの温度、あるいはフロアごとの来客数、その動きなどを総合的に分析できるので、より詳しい結果を導き出すことが可能なのです」
現在、IoT機器を用いて、人の流れなどを分析することはできているが、これはまだ「自分たちのところで何が起きているかを理解するだけ」(秦)の役割しか果たせていない。この研究では、例えば「明日、どのぐらい人が集まるので、空調やお店の態勢をどのように準備しようか」まで落とし込んでビジネスを支援できるようになる。それが「IoTの価値化」なのだ。

02.「雑」なデータの精度を高める

IoTを価値化していくには、課題を設定し、ふさわしいデータを集めるための機器を設置し、データを収集・解析し、課題解決につながるアウトプットへ落とし込んでいくという作業が必要になる。設定した課題を解決するには、このようなデータが必要だろうというところまで推測を立てたとしても、それを解析するアルゴリズムにどのような手法を用いるかは、研究者としてのセンスが問われる。現在、IoTを用いた空調や気流制御の環境最適化に関する研究を行っている松浦伸彦はその難しさについてこう語る。
「当然、事前にどのような解析をしようかまでイメージはしますが、実際には解析手法は膨大にあり、どんな手法がもっとも適切なのかを判断するのは簡単ではありません。自分にリソースが足りなければ、周囲の人の知恵を借りることもしばしばです」
現在、ある商業施設では、建物内にさまざまなセンサーを配置しネットワークにつなげ、人流と温度の変化を観測し、空調の制御効率を高める実証実験※を行っている。施設内では、人がぶつかってセンサーの角度が変わってしまったなど、さまざまな不確定要素があり、収集されるデータは必ずしも予測したとおりの「きれいなもの」ではない場合もある。そうしたデータに対し、事前予測と現実との差分を測りつつ精度を高め、空調制御の具体策へと落とし込んでいく。そこにはデータの「雑さ」を吸収するためのソフトウェア開発技術も求められてくる。
※実証実験に関するニュースリリース (https://group.ntt/jp/newsrelease/2017/06/15/170615a.html)

03.技術は使われてこそ価値がある

事業のプロであるパートナーに対し、データ解析によりどのような価値を提供できるかを明示することも研究者としての重要なスペシャリティとなる。e-ラーニング関連の技術開発に携わる児玉翠は、さまざまな場所へ出かけ教育分野の情報収集を行い、パートナーへの提案ややり取りを重ねることで、自らの技術によって提供できる価値を編み出し、最終的にはパートナー企業にも成果を実感してもらうことができた。自動車メーカーと協力して研究を行う吉田学は「長年自動車と向き合ってきたプロを驚かせるような提案」ができるようにと、自分の強みと自動車業界の現状を掛け合わせ、数十にも上る「IoT価値化案」をパートナー企業に提出した。
「パートナーとなってくれている各社は、NTTだからこそと、我々の技術力に期待し協力してくれています」(秦)
チームメンバーの一人ひとりは「"IoT"や"AI"と言った言葉が流行するだけでは意味がない。技術は使われてこそだ」と口を揃える。テクノロジーを単なる流行り言葉に終わらせず、真に価値のある技術へと進化させていくために、彼らは日々、誠実に技術と向き合っている。

PROFILE

秦 崇洋
2006年入社。入社以来、ユビキタスコンピューティングの研究に従事。事業会社での経験を経て、現在、IoTデータを活かせるビジネスモデルの創出に挑んでいる。
吉田 学
2010年入社。AIの研究に携わった後、事業会社でサービスの企画開発を担当。研究所復帰後、現在の研究テーマに加わり、世の中を豊かにする試みに挑戦中。
松浦 伸彦
2012年入社。論文中心ではなく、論文とモノ作りのバランス良い研究を志し入社。エッジコンピューティング研究を経て、現在のテーマに取り組んでいる。
児玉 翠
2015年入社。学生時代は人間の脳構造の研究に従事。入社後は研究の幅広さと人材の豊富さに魅了され、分野の垣根を越えてアドバイスをもらうことも多いという。

※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、
旧研究所名の場合がございます。

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