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2025年3月までに四年制大学・大学院修士課程・大学院博士課程を卒業(修了)見込みもしくは卒業(修了)済みの方が対象となります。
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未来の通信を守る「暗号理論」

  • #セキュリティ
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  • #社会情報研究所

社会情報研究所

北川 冬航

これが未来創造の最前線だ!

その起源は古代エジプト文明にまで遡ると言われている「暗号」の歴史。送りたい相手にのみ内容を伝え、第三者にはその中身を見られないようにするという発想は、人が情報をやり取りする上で、ずっと変わらぬテーマであり続けているのかもしれません。
21世紀となり情報のやり取りの主体が電子世界に移り変わっても暗号の重要性は変わらないどころか、ますます秘匿性が求められるようになり、悪意ある者の侵入を防ぐ方策には高度な技術が必要になっています。誰もが安心して通信を活用できる世界へ。新しい暗号技術が人々の安全な暮らしを守ります。

01.未来を見据えた新たなセキュリティ技術に挑む

我々が日々メッセージをやり取りしたり、あるいはソフトウェアを利用したり。現代の日常生活にインターネットの活用は不可欠なものとなっており、そこでやり取りされる情報はつねに盗み見られるリスクにさらされている。今だけではなく、未来にわたって、安心できる情報社会を構築するために。高度な暗号理論の構築が求められている。

私の専門は暗号理論です。暗号というのは実社会にすごく密接したもので、今現在の社会にとても重要なものであると同時に、10年、15年先の未来でも必ず必要とされるものです。物理的なロボットのようにわかりやすく目に見える技術とは違い、一般の方で日常的に暗号の存在を強く意識している方は少ないかもしれません。けれど暗号化技術によって守られているおかげで、私たちは気軽にインターネットによる情報のやり取りができていますし、今日の安心で便利な社会は実現しています。

暗号理論のようなセキュリティ技術は、より柔軟な情報の利活用を実現し、その結果として私たちの生活を豊かにしてくれています。その一方でテクノロジーの進化に伴い、残念ながら暗号を破ろうとする悪意のある者も進化してしまうため、今の暗号さえあれば未来永劫ずっと安心できる、ということはありません。私は現在、未来を見据えた新たなセキュリティ技術を考案していくという重要な役割を担い、量子計算機(量子コンピュータ)を用いた新たなセキュリティ技術の研究を行っています。

02.量子のもつ複製不可能性を活用

量子計算機の登場は世界を一変させると言われ、NTT研究所をはじめ世界中の至るところで研究が進められている。量子の性質を利用し、従来の半導体コンピュータとは異なるアルゴリズムで動く新時代の計算機が訪れる時代では、我々の情報を守る暗号にも新しい技術が求められるようになってくる。

暗号理論は現在、量子情報分野との融合が急速に進みつつあります。量子を用いた情報処理には“簡単に情報を複製できない”という性質があり、私もこの性質のセキュリティ技術への応用を研究しています。一般に量子暗号が語られる場合には大きく二つの世界が語られます。今あるコンピュータを何の対策もせずにそのまま使っていると、量子計算機を使った攻撃に耐えられないため、使うコンピュータは今のままだが、量子情報を用いた攻撃に耐えられるような防御性能を高めましょうという「耐量子暗号」。もう一つは、それこそ量子計算機、量子インターネットというものを使って、性能の高い暗号をつくり上げていきましょうという「量子暗号」の世界です。

私は両方の領域に携わっていますが、メインとしているのは後者の「量子暗号」で、量子計算機ができた世界において、量子計算機ならではの精度を用いてより高度な暗号化技術をつくっていこうという研究を行っています。特に量子状態は、一般的に複製できないという量子の「複製不可能性」を活かし、「複製できない」という安全性を持った新たなセキュリティ技術を実現しようと試みています。例えば量子を用いたソフトウェアの複製防止技術を確立し、絶対に不正な複製、つまり海賊版がつくれないソフトウェアの実現などに活用できる、そうした将来の暗号化技術の実現をめざしています。

03.人類の進化のつながる技術を

今日もブロックチェーンに代表されるように、高度な暗号化技術によって我々の生活は守られているが、これらの技術は量子計算機が実現した暁には破られる可能性が高いことがわかっている。今後も安心で便利な情報社会を築き上げていくために、テクノロジーの進化はセキュリティ技術の進化とつねにセットでなければならない。

量子情報技術の進化は、これまでのセキュリティのあり方を一変させてしまう可能性が高く、世界中で量子計算機における安全な暗号を実現しようという試みが行われてきました。そして今日では、量子計算機をただ脅威と考えるのではなく、従来の計算機にはないその性能を活かして、新たなセキュリティ技術を生み出そうとする試みが広く行われていて、私の研究もその一つです。これまで以上に強固で、汎用性が高いセキュリティが暗号理論の進化によってもたらされるでしょう。

NTT研究所は今すぐに役に立つ技術の研究開発だけでなく、15年、20年といった長期的な目線で人類の生活を豊かにする新技術の創出をめざした基礎研究にも力を入れています。未来に活用される新しいセキュリティ技術もそうした技術の一環です。人類や社会がこの先、50年、100年経った頃にどのように進化していくのかはすごく楽しみですが、暗号理論を通じて、そんな未来につながっていける感覚が持てる今の研究をとても楽しんでいます。

※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、
旧研究所名の場合がございます。

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