量子光を操り、常温で使え、
古典的な計算にも
量子コンピュータの領域でも強い、
新しい時代のコンピュータを
生み出す
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先端集積デバイス研究所
柏崎 貴大
01.光量子コンピュータ実用化をめざして
光量子コンピュータ実用化に向け、量子光源(スクイーザ)をはじめとする量子光学デバイスの研究開発や、光量子操作に関する研究を行っています。現在、全世界で量子コンピュータの研究開発競争が激化しており、さまざまな物理系を用いた手法が提案されています。しかし誤り訂正可能な汎用量子コンピュータを実現するためには、どの方式にも弱点があり、多くの課題が残されているのが現状です。そうした中で私たちは、空間や透明な物質の中を飛び回る『光』に情報を載せる光方式に着目し、研究を進めています。この方式は光通信技術とも相性が良く、NTTの強みをそのまま活かすことができる量子コンピュータになると考えています。
02.量子光の弱点克服をめざす
光方式のメリットは、光自体が非常に安定した量子性を保てるため、基本的には室温でも動くことができます。極低温にするための巨大冷凍機を用いる必要がなく、消費電力を極めて抑えることができるのは大きな利点。また、量子情報科学の分野では、光を用いた実験は数多く行われており安定した量子ため、研究を進めていく上では非常に良い手法だと思っています。
ただ、光には損失に弱いという性質があります。光通信の場合は増幅器を用いることでその弱点を補いますが、量子光用の増幅器というのは現段階では実現することが難しいです。損失が発生することにより量子ノイズが混入し、正しい計算を導き出せなくなるリスクが存在します。さまざまなデバイスの性能を高め、こうした量子光の弱点を克服していくことも大きなテーマの一つです。
03.NTTの技術力を活かしコンピュータの世界を変える
こうした壁を乗り越えて全光型の量子コンピュータを実現すれば、その高いクロック周波数を利用し、古典計算にも強みを出せると考えられています。実現へのハードルは途方もなく高いですが、一つずつ壁を乗り越えていくことで、いつかコンピュータの世界を変えるような成果が出せると信じています。
※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、
旧研究所名の場合がございます。