高度数学理論を用いて、
機械学習の中身を可視化。
独自の視点で
データ解析の高度化を追究する。
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ネットワークサービスシステム研究所
橋本 悠香
01.高度数学理論でデータ解析手法を表現する
高度な数学理論を用いた、新たなデータ解析の枠組みの構築をめざして研究をしています。今、盛んに利用されているニューラルネットワークなどによるデータ解析手法は、非常に高精度なアウトプットを利用者へ提供し、社会に大きく貢献しています。
しかし、これらの手法はモデルやデータを複雑に表現するため、解釈や精度の保証が困難であり、大量のデータが必要などの課題もあります。そのため、実際にどのように動いているのかが不明確なままにこの手法を使いつづけるのはすごく怖いものです。そこで私は、高度数学理論を応用することで、モデルやデータを連続的、あるいは抽象的に表現し、単純化する枠組みの構築をめざしています。
02.数学と工学を掛け合わせ解析モデルを可視化する
現在、私が研究内容として具体的に取り組んでいるのは、C*環・作用素論などの高度な数学理論を用いて、モデルやデータを連続的・抽象的に表現して単純化するという、新しいデータ解析の枠組みの提案です。こうした高度数学に関する研究は、当然、数学の世界では数多く行われていますし、一方でニューラルネットワークの解析や機械学習の手法の研究というのも、もちろん工学的に非常に数多くの研究が世界中で行われています。ただ、そこをうまく結びつける研究というのは、あまりありませんでした。
特に現在は「クープマン作用素」を使って理論を発展させ、C*環を使って機械学習の抽象化に向き合っているところです。こうした取り組みをしている研究者は世界的にもまだまだ少ないのですが、数学的な視点から機械学習を掘り下げていく今のスタイルに手応えを感じています。数年のうちに誰でも使えるようなツールに落とし込んで実用化までつなげられれば、一つの成果として世に示せるのではないかとワクワクしますね。
03.分野横断的な研究で社会の進化に貢献したい
今、取り組んでいる研究がより大きな成果を残せば、機械学習に対する不安が払拭されると思っています。少量で複雑なデータでも、解釈性や精度を保証する効率的な解析手法が実現できれば、産業界や学術界の進化に貢献することが期待できます。また<数学×工学>といった今回のような分野横断的な研究がますます発展し、数学理論が多くの領域とコラボレーションしていければ、各分野のさらなる発展に貢献できるのではないかという期待も持っています。
数学の世界にはすでに確立した理論が数多くあり、そうしたものをアップデートしながら精度を上げていくアプローチもあると思います。しかし、私は高度数学を用いて広い範囲で汎用的な枠組みをつくり、世界中のさまざまなところに適用できるようにしたいという大きな想いを持ち、これからも研究に臨んでいきます。
※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、
旧研究所名の場合がございます。