近年、スマートフォンなど無線LANにアクセスするデバイスが急増。通信の中継点となるアクセスポイント(AP)もより高密度に設置されるようになり、干渉による通信品質低下も目立つようになってきた。アベセカラは無線LANの運用状況や干渉関係などを調べ、展示ホールやスタジアムのように人が密集し端末の利用が集中した状況でも、スムーズなデータ通信が可能となるような無線LANシステムの実現に取り組んでいる。
「APから得られた無線LAN運用情報や利用環境情報など膨大なデータをもとに、スループット品質を向上させる最適なパラメータを算出するアルゴリズム『RATOPアルゴリズム』の研究や、これにより算出された数値にもとづき、ユーザの利用環境に応じて動的にパラメータを調整しながら運用する『協調無線LANシステム』を考案し、その実現に向けた研究を行っています」
理論値と実験結果の乖離を縮めるためチーム内や機器ベンダーとディスカッションを重ね、現在ではJ1リーグの試合も開催される数万人規模のスタジアムでも最適な無線LAN環境を提供できるような実験を成功させている。
無線通信の未来を
NTTから切り拓く
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アクセスサービスシステム研究所
アベセカラ・ヒランタ
Research Develorer
眼前に迫ったオリンピックを目処に大規模イベント会場での無線LAN通信を最適化する。
そんな目標に向かってアベセカラは日々、実験と検証、改善を繰り返している。
そしてその先には、ここから世界最高峰の無線通信制御技術を発信していく未来を思い描く。
01.Technology
大規模イベントでもスムーズな無線通信の実現をめざして
02.Personality
NTT R&Dには未来の夢を実現する力がある
「2020年には大規模なスタジアムでもスムーズな無線LAN環境を提供できるようにしたい」
アベセカラは近い将来の目標についてそう話す。そのためには現在の研究が何よりも大切で、高い技術を持った研究者が揃い、互いに刺激しあえるNTT R&Dの環境が非常に励みになるという。
「すごい能力を持った人が多くいるので本当に刺激的な会社です。スペシャリストも多く、そうした方々と話すといろいろなアイディアが浮かんできます」
入社後は、無線通信規格の国際標準化会議へ出席して技術提案を行い、現在も国内外での学会発表なども数多くこなすほど、国際的な活躍を続ける。将来は無線LANだけにとどまらず、ミリ波など他のアンライセンスバンドを含めた制御やセルラー連携に関しても技術を高めていき、総合的に無線通信の制御を究めていきたいと目標を話す。若手研究者同士で未来について議論する勉強会なども定期的に行っている。
「未来の話をするのはわくわくしますね。ここにはその夢を実現できる力があるので、本当に楽しく研究ができています」
PROFILE
- アベセカラ・ヒランタ
- 2010年入社。日本の文部科学省プロジェクトで来日以降、国内の大学、大学院を経て、日本で研究を続けたいと思い、自由な雰囲気に憧れてNTT R&Dへ。
※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、
旧研究所名の場合がございます。